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ブリキ缶建造記

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主に1/700艦船模型の制作記録

■煙突の工作・塗装

煙突本体は基本的にキットの部品を使用していますが、画像のように一部ディテールを追加しています。
高波1942 その六_e0198074_21395368.jpg
元々キットで省略されていて、ディテールアップする際に見落としがちなのが、煙突上部前方のみに付いているジャッキステーです。これは「陽炎」型にもあります。
実艦写真で明瞭に判別できる例として、昭和17年9月の「不知火」や、昭和18年4月の「巻波」の舞鶴工廠入渠中写真があります。
参考として掲載したのは、「不知火」の写真。二番煙突付近をトリミングしたもの。
高波1942 その六_e0198074_21411209.jpg
このような写真を眺めてみると、煙突のジャッキステーがとても細い円材で出来ていることや、煙突開口部にある骨組みがなぜ「雨除け格子」と呼ばれているか、理解できると思います。

警笛管(汽笛用蒸気管)は、残された同型艦の写真ではいくつかの経路の違いがみられ、姉妹艦識別のポイントとなる部分です。模型では同型艦の写真とは異なる経路としてアレンジしました。

煙突を取付けた後、四連装魚雷発射管や機銃台座部品などを順に取付けました。魚雷発射管はキットに同梱されていた新装備セットの部品です。ディテールが素晴らしい部品です。こだわりポイントとして、発射管防盾の左舷前方裾の張り出しを追加再現しています。
高波1942 その六_e0198074_21423647.jpg


■「高波」の煙突の識別線について

「アジア歴史資料センター」にてWeb上に公開されている、Ref.C08030098800「昭和17年11月1日~昭和17年11月15日 第2水雷戦隊戦時日誌戦闘詳報(防衛省防衛研究所)」内の艦隊区分表ページによりますと、昭和17年11月時においての「高波」の所属は、「第二艦隊第二水雷戦隊第三十一駆逐隊第一小隊」で、第三十一駆逐隊の司令駆逐艦でありました。


以下は上記サイト公開資料ページの昭和17年11月2Sd艦隊区分表からテキスト化(※1)して引用しています。

(一)11月1日~11月24日

旗艦:五十鈴

【連隊番号:一】
 隊番号(一):第十五駆逐隊
  〈第一小隊:(1)親潮 (2)黒潮  第二小隊:(3)陽炎 (4)早潮〉
 隊番号(三):第二十四駆逐隊
  〈第一小隊:(1)海風 (2)江風  第二小隊:(3)涼風(※2)〉

【連隊番号:二】
 隊番号(二):第三十一駆逐隊
  〈第一小隊:(1)高波 (2)巻波  第二小隊:(3)長波〉


(二)11月25日~11月30日

旗艦:五十鈴

【連隊番号:一】
 隊番号(一):第十五駆逐隊
  〈第一小隊:(1)親潮 (2)黒潮  第二小隊:(3)陽炎 (4)早潮(※3)〉
 隊番号(三):第二十四駆逐隊
  〈第一小隊:(1)江風(2)涼風  第二小隊:(3)海風〉

【連隊番号:二】
 隊番号(二):第三十一駆逐隊
  〈第一小隊:(1)高波 (2)巻波  第二小隊:(3)長波〉

注記:
(※1)原本画像から管理人がテキスト化するにあたり、体裁を整えるため原本に無い括弧書きを追加したり旧字体を新字体に改めています。
(※2)原本画像では、「涼風」の艦名が「凉風」となっています。
(※3)「早潮」は既に11月24日に戦没していますが、艦隊区分表ではそのままです。


第二艦隊第二水雷戦隊所属の駆逐艦は当時、一番煙突に太い白線を一本、二番煙突に所属駆逐隊の席次(隊番号)に応じた白線を巻いていたようです。
今回の「高波」の模型では、第三十一駆逐隊所属であることから、一番煙突に白線を一本、二番煙突に白線を二本巻いた仕様にしています。
また、同一駆逐隊内での序列(艦番号)を示す目印として、駆逐隊席次を示す白線を巻いた煙突(二番煙突)とは違うほうの煙突(一番煙突)に、「白塗りの○△□」を描き入れていたようです。昭和18年4月の「巻波」の写真で△の記号が確認できます。記号の大きさはおよそ80cmですので、1/700では1mm強になります。

一番艦:記号なし
二番艦:○
三番艦:△
四番艦:□

よって、司令駆逐艦(一番艦)の「高波」は記号なしとしております。当時の「巻波」は一番煙突に○、「長波」は△が描かれていたものと推測できます。
ただし、あくまでも残されている書類資料から推測したものですので、実際に100%このようであった、とは限らないようです。
当時最前線で輸送や護衛任務に酷使されていた駆逐艦は、作戦行動中の損傷や臨時の所属変更などで艦番号の序列が頻繁に入れ替わる場合があったようで、煙突の識別線や記号をそのつど塗り直していたかどうか、特定可能な写真がない限り、何ともいえないところではあります。

# by minekaze1920 | 2016-11-06 22:18 | 高波1942
■艦橋構造物の工作・塗装

「夕雲」型駆逐艦は、艦橋構造物の形状や艤装品追加設置の変遷から、【初期・中期・後期建造艦】に分けることができます。六番艦の「高波」は、【初期建造艦】に範疇に含まれます。
ピットロード製キットの艦橋部品は、初期建造艦の特徴を再現していますので、大掛かりな部品の形状変更は必要なく、そのまま組んでも特に問題ありません。中期・後期建造艦を制作する場合は、大幅な改造工作が必要になりそうです。
高波1942 その五_e0198074_10191166.jpg
定番工作として、窓枠部分をジョー・ワールド製の汎用エッチングパーツに置き換えました。窓枠の高さは1.0mmです。
今回こだわった点として、「羅針艦橋の窓枠位置よりも両舷の張り出し部分の窓枠が若干低く設置されているところ」を再現してみました。最近開発されたキット(アオシマやフジミ製の「陽炎」型など)では、この窓枠位置の違いがきちんと再現されています。
高波1942 その五_e0198074_10200832.jpg
主要部品を接着・塗装後の状態。
舷灯はプラ材で自作していますが、ランプ部分は塗装、真横の反射板部分は着色済の折紙で再現しました。
高波1942 その五_e0198074_10205450.jpg
高波1942 その五_e0198074_10211590.jpg
更に前面の防弾板、天蓋上の手旗信号台などを追加しました。
高波1942 その五_e0198074_10213904.jpg
船体に艦橋構造物を設置後。測距儀は白く塗装しました。
高波1942 その五_e0198074_10215859.jpg
おおむね自分のイメージ通りに出来ましたけれども、細かく見ていくと仕上げがまだまだ雑であります。
反省点としては、防弾板の後付け感があり過ぎるので、塗装前に天蓋上面も含めて取り付けておいたほうが良かったこと、下部艦橋の舷窓の径がやや大きいので、一旦パテで埋めて浚い直すべきだったこと、でしょうか。


次回は煙突の工作編の予定です。

# by minekaze1920 | 2016-09-25 10:42 | 高波1942

by minekaze1920